みなさん、こんにちは。Hです。
長年続けてきたネットバンキングのプロジェクトマネージャというポジションを同じプロマネチームの「t.h.」さんに交代させてもらいました。おかげさまで役職者としての仕事をする時間が増えて、より未来のための活動に時間をさけるようになってきました。
そんな中、これまでに経験したことのない新しい形のプロジェクトに携わることになりました。
プロジェクトに「スクラム」という開発プロセスを導入し、私自身はプロジェクト立ち上げ当初から、提案・企画側に携わっていたこともあり、「プロダクトオーナー」を務めることとなりました。
そこで「プロダクトオーナー」としての立場から感じたことを何回かに分けて、プロマネ日誌の中で記述してみようと思います。
スクラムを導入した背景(プロジェクトの概要)
今回スクラムを導入する対象となったプロジェクトは下記のようなものです。
- 観光に関するビッグデータを取り込み、宿泊動向の集計や予測値をグラフやデータとして提供するプラットフォームを構築するプロジェクト
- 開発期間は2015/5~2015/10で、以後は運用しながら随時改善する。
- 利用するユーザーは市区町村の観光課の方など、観光戦略を考える方々をターゲット。
そしてプラットフォームの仕様については、実際に使ってもらってユーザーの意見を聞きながら、改善していこうという
通常の「業務システム開発」とは違って、当初から「仕様を固める」という発想はないプロジェクトでした。
そこで通常の「業務システム開発」でするような「要件定義」-「設計」-「開発」-「テスト」といった一連の行程を踏むプロセスではなく、最初はHTMLモックベースで提供する情報やデータの表現方法を詰めていき、ある程度固まった段階で今度は動作するものを触っていただきながら、徐々に完成形へと育てていく反復型開発のプロセスを採用することとしました。
さらに「スクラム」に取り組んでいたメンバーが現場から帰ってきたこともあり、このプロジェクトにスクラムを導入することに決めました。
しかしながらプロジェクトメンバーはほとんどがスクラムについては初めてのトライということもあり、下記の通り、できることから始めてみようというスタンスで導入に取り組みました。
※下記表のそれぞれの内容については「スクラムガイド」に記載されていますので参照下さい。
プロダクトオーナーの役割とは?
「スクラムガイド」によると、プロダクトオーナーというのはスクラムチームが作るプロダクトの最終責任者となります。開発チームにプロダクトのビジョンや価値を伝え、開発チームが何を作るか(要件の決定)と、その優先順位を決定します。さらにステークホルダーとの調整や交渉が役割となります。
その他の特徴として、プロダクトオーナーは1人、開発チームからは独立することなどが挙げられます。
今回のプロジェクトでは十分な役割を全うできたかというと色々な反省点はありますが、概ね役割通りの動きはできたのではないかなと思います。
プロダクトオーナーになってみて分かったこと
初めてのプロダクトオーナーを経験してみて分かったこともあります。
1つ目はプロダクトオーナーのスケジュールに、リズム感が左右されてしまうことです。
このプロジェクト専任のプロダクトオーナーになっているわけではないので、スクラムイベントの時間帯を多々を調整してもらうことがありました。本来的にはスプリント計画レビューやスプリントレビューは日時を固定化して実施することが開発チームにとってもリズムが生まれてよいのではないかと思いました。
これは「スクラム実践入門」にもかかれていますが、プロダクトオーナーの「あるある」問題のようですね。
2つ目はプロダクトオーナーの「要件定義」への取り組み度合がチーム全体の生産性に大きく寄与することです。
プロダクトオーナーの役割の1つである「要件の決定」については画面のデザイン、ユーザビリティ、動作仕様など私のほうでメインで考えていましたが、スピード案や深堀が追い付かず、結果として開発チーム側にもかなりの時間を割いていただくことになり、スプリントの進行が停滞してしまうこともありました。
開発チームがスプリントを実施している間に、次スプリントの要件をきちんと詰めておくこと、またプロダクトオーナー1人では決めきれなかったり、アイディアが浮かばないこともあるので
そういったときにデザイナー、開発チームの知恵をきちんと取り入れられるような進行が必要だと感じています。
そして3つ目は、最大の難関が「コスト管理」だということです。
どんなプロジェクトにも予算があるため、この予算をどのようにしてスプリントに配分していくのか?
というのがとても難しく感じます。
今はまだ回答がないのですが、今後の取り組みを通じて手法を考えていければと思います。
今後の取り組んでみたいことについて
上記のようではありますが、2週間に1回のリズム感や完成物が徐々に進化していくので
ステークホルダーからの反応やフィードバックがとてもよいこと、
そして次どうしていくか?を考えながら進めていけること等、このプロセスならではのメリットを享受できているように感じます。
今後はさらに下記のことにも取り組み、より自己組織化されたチーム作りをできればと思います。
[イベント]
・スプリントレトロスペクティブ
[プラクティス]
・リーンキャンバス
・バーンダウンチャート
・KPT
みなさまの現場でも色々取り組まれていると思いますので、私も知見をためて意見交換の場を持てればと思います。スクラム導入記2回目以降もどうぞお楽しみください。
参考文献
■スクラム実践入門 「技術評論社」
■スクラムガイド