第1回 はじめよう!Ruby on RailsでWebアプリ
第1回 はじめよう!Ruby on RailsでWebアプリ
本連載を通して、Rails初心者の方でも比較的簡単にRuby on Railsを使ったWebアプリ作成ができることをお伝えしていければと思います。筆者自身、Railsはもとより、Rubyで開発を行った経験がありません。巷の、Railsを使うとWebアプリ開発が迅速に行える、という話を信じて検証してみようというのが、この連載を始めるきっかけです。従って、より一層Rails開発の実情をお伝えできるのではないかと思います。
なお、筆者の開発環境の都合上、本連載は基本的にMac OSXで進めさせていただきます。Windows上のRubyやRailsでもそれほど差はないと思いますが、違う箇所は適宜読み替えていただければと思います。また、Rubyらしいコーディングがされていな箇所があるかもしれませんが、おおめに見ていただければ幸いです。
Rails環境を手に入れよう
それでは早速始めましょう。Railsのインストールは比較的簡単です。ちなみに、Mac OSXは最初からこれらのソフトウェアがインストールされている可能性があります。まずは、コンソールを起動して下記のコマンドを実行し、最新版へアップデートしてください。Windows環境向けの手順は後述します。
$ ruby -v ruby 1.8.7 (2010-12-23 patchlevel 330) [i686-darwin10] $ gem -v 1.8.5 $ sudo gem update --system Latest version currently installed. Aborting. (※ gemが最新版でなかった場合は、アップデートされる) $ sudo gem list --local $ sudo gem install rails $ rails -v Rails 3.0.9 $ sudo gem install sqlite3 $ sqlite3 -version 3.7.5 $ sudo gem install sqlite3-ruby $ sudo gem install heroku |
Rails環境構築の補足
なお、連載中に使用する各ソフトウェアのバージョンは、以下になります。
- Ruby : 1.8.7
- Rails : 3.0.9
- sqlite3 : 3.7.5
バージョンによっては、記事の内容と異なってしまう可能性がありますが、その時は適宜、読み替えていただければと思います。
Windows向けのRails環境構築
Windows向けに、RubyのインストールからRails環境構築の手順を説明します。環境構築に使用したOSはWindowsXP SP3、執筆は2011年12月になります。
まずはRubyをインストールします。下記のURLから、「Ruby 1.8.7-p352」のリンクをクリックして、ファイルをダウンロードします。
ダウンロードしたファイルをダブルクリックしてインストーラーを起動し、インストールを進めます。筆者は、インストール先を「C:\Ruby187」にし、「Add Ruby executables to your PATH」にチェックをいれてインストールしました。
さらに、先ほどのURLから「DevKit-tdm-32-4.5.2-20110712-1620-sfx.exe」のリンクをクリックして、ファイルをダウンロードします。
ダウンロードしたファイルを適当な場所に展開したあと、下記のコマンドを実行してインストールします(筆者は「C:\DevKit-tdm-32-4.5.2-20110712-1620-sfx」を作成して展開しました)。
MS-DOS> cd C:\DevKit-tdm-32-4.5.2-20110712-1620-sfx MS-DOS> ruby dk.rb init MS-DOS> ruby dk.rb install (※ Rubyのインストール先を変更している方は、ruby dk.rb initを実行したあとに生成される「config.yml」の内容を、Rubyのインストール先にあわせて編集してください) |
次に、Railsをインストールします。Mac OSXの手順でインストールしたRailsのバージョンにあわせるため、Railsをインストールするときにバージョンを指定しています。
MS-DOS> gem -v 1.7.2 MS-DOS> gem update --system (2011年12月時点での最新版、1.8.12にupdateされる) MS-DOS> gem list --local *** LOCAL GEMS *** rubygems-update (1.8.12) MS-DOS> gem install rails -v 3.0.9 MS-DOS> rails -v Rails 3.0.9 MS-DOS> gem install sqlite3 MS-DOS> gem install sqlite3-ruby MS-DOS> gem install heroku |
以上です。
Railsコマンドで簡単作成
今度は、Railsコマンドを使ってWebアプリを作成します。その前に、作業フォルダを作成しておいてください(筆者は「rails_article_work」とした)。
作業フォルダを作成したら、その中にWebアプリを作っていきましょう。コンソールを起動して作業フォルダに移動し、下記のコマンドを実行してください。
$ rails new lesson01 create create README create Rakefile create config.ru create .gitignore create Gemfile ・ ・ ・ |
作業フォルダの中に、lesson01フォルダが作成されています。なんと、これだけでWebアプリ自体は作成されたのです(機能は何もありませんが・・・)。
では、実際に作成されたWebアプリを動かしてみましょう。コンソールからlesson01フォルダに移動し、下記のコマンドを実行してください。
$ cd lesson01 $ rails server => Booting WEBrick => Rails 3.0.9 application starting in development on http://0.0.0.0:3000 => Call with -d to detach => Ctrl-C to shutdown server [2011-07-28 21:05:12] INFO WEBrick 1.3.1 [2011-07-28 21:05:12] INFO ruby 1.8.7 (2010-01-10) [universal-darwin11.0] [2011-07-28 21:05:12] INFO WEBrick::HTTPServer#start: pid=42029 port=3000 |
これでアプリケーションがデプロイされ、サーバーが起動しました(サーバー停止はCtrl+C)。ブラウザを開いて、「http://127.0.0.1:3000/」にアクセスしてください。下記の画面が表示されると思います。
図1. Webアプリの実行結果
いかがでしょう?少なくとも、JavaでWebアプリを作成するよりは、Framework選定を考慮しなくてよかったり、コーディング量が少なかったりする分(むしろまだ何も記述していない)、簡単だったのではないかと思います。
おわりに
「はじめよう!Ruby on RailsでWebアプリ」の第1回はいかがだったでしょうか。
筆者自身、こんなに簡単にWebアプリを作成できることに驚いています。例えば、JavaでWebアプリを作成する場合は、Frameworkを選んだり、必要なライブラリを探して組み込んだり(最近はMavenで楽になってきましたが、それでもXMLファイルを記述するなどの手間は残る)、アプリケーションサーバーをインストールしたりと、Webアプリを立ち上げて動作確認をするまでが非常に大変です。その点Railsは、RubyとRailsを組み込み、コマンド一発で作成が完了します。しかも、別途アプリケーションサーバーを用意してデプロイ作業を行う必要もありません。
さて次回は、今回作成したアプリに手を加えて動的に値を表示できるようにしたいと思います。今回は自動で作成されたWebアプリをそのまま表示するだけでしたが、自分で作成した場合でも、Railsの簡単さは失われないのか検証してみたいと思います。
第1回 おしまい
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